雪代が終わり、流れが再び輝きを取り戻す夏。野鳥や昆虫が飛び交い、大自然が一番華やいで見える季節である。だが一方渓流は、カラカラ天気によって山に蓄えられた雨水が枯渇し始め、そしてさらに田植えのための取水が渇水に拍車を掛ける。
当然水の中に棲む渓魚たちの生活圏は狭くなって生存競争が激化、口にできるものは何でも捕食する弱肉強食の中でフィッシュイーター化してくる個体も多くなってくる。夏は最も厳しい季節と言っても過言ではない。
そんな激戦を勝ち抜いてきた尺越えのツワモノたちは、水温や酸素量が安定しエサの豊富な場所へ活動の場を移す。
まずその一つが瀬だ。瀬はエサとなる流下物や小魚も多く、また水面の揺らめきによって外敵から身を守ることも可能であることも見逃せない。その瀬に潜む大物に対しては、ダウンクロス(対岸斜め下流方向)にelfをキャストしたい。本来の力量が一番に発揮される攻略方法でもある。カラーは視認性には劣るが、やはりこの時期はフィッシュイーターを意識したA-8(アユ)がベスト、サイズも57で十分だ。アクションについては着水直後のシェイキングでアピールし、ラインを張ったまま流れを横切らせダウンの位置からトゥイッチングで喰わせに入りたい。
そしてミノーが流れを横切る際は、居着き場所ともなり得る沈み石付近をトレースするように着水ポイントや立ち位置を工夫しよう。さらに活性が高い時には、着水直後のシェイキングで喰ってくる場合もあるから気が抜けない。
また時々アユの友釣りの目印にライズしてくる話も耳にするが、確かに彼等の意識しているレンジは浅いようである。シンキングのまま挑むならばティップを高く保持して表層を、無難にはフローティングを選びたいところだ。
一方小渓流では瀬はチャラ瀬となってしまい、良型が姿を見せることはまずあり得ない。だが釜状に連続する落ち込みに目をやってみよう。
落下する流れが作る白泡などがシェードになり、また豊富な酸素を供給している点。まさに瀬と類似する条件がここにもあるのだ。このような小さなポイントにはelfバルサ48Sをキャストし、落ち込み脇にできた反転流を捕らえたい。バルサ特有の沈みの速さは、その安定した沈下姿勢とともに白泡の下へ最短時間で運んでくれるはずだ。ボトム付近に漂わせた後、水面に向かってダートなアクションを試みたい。小場所に似合わぬ大物がヒットすることも多々ある。カラーは視認性を重視しP/GやR/GおよびCHBを...あるいは甲虫をイメージしてA-12といった黒系がおすすめである。
シーズンも終盤となり、「秋」特有の長雨が釣果の行方を左右する。もっとも狙うのは雨直後の水位が増し始める頃か、もしくは濁りが収まって減水に向かう時である。とはいえ静岡県西部の平野に住む私が、その瞬間に釣り場へ行けるわけはない。一応サラリーマンでもあるのだ。大事なのは、出合った渓相や水量が何を意味しているのかを判断すること。倒れたヨシや堰堤上下に溜まった流木など、それらは増水時の水位を把握する良い目安になるから覚えておきたい。
増水時のアプローチ方法としては雪代時のそれとあまり変わらないが、渓魚たちの居付き場に大きな違いが見られる点を特に注目したい。この時期の彼等は落ち込みの上流側、いわゆるカタの部分に定位している場合が多いのだ。このポイントはダウンでなければ攻略できない。まさにelfの出番である。泳ぎにはさらなる安定性と動きの俊敏性を重視し、ここはやはりelfバルサ48Sを登場させたい。相手は百戦錬磨の好敵手、アクションもシェイキングだけでは見切られることも多く、そんな時には思い切ってポーズを入れてみるのが面白い。シェイキングで誘っておいて、魚影の鼻先で瞬間的にミノーの動きを止めるのである。elfバルサ48Sならではの超イレギュラーアクションに、ついつい好敵手も口を使ってしまうだろう。
また意表を突いてelf69Sを登場させるのはどうだろうか。アクションはやはりボトム付近からのジャークが良い。小渓流で着水音の大きな69をキャストするということは自ずと一発勝負を意味しているが、見たことのないサイズに思わず反応してしまう個体も少なくない。先にも述べたように、シーズン終盤に対峙する渓魚たちはあらゆる釣り人の攻略から逃れることのできた百戦錬磨の「ツワモノ」であることを忘れてはならない。一筋縄で行かなくて当然、釣果を得るためには何かひと工夫が欲しいのである。