本州中部の渓流解禁は早いところで2月の1日。2月3日節分を過ぎれば暦の上では「春」であるが、太平洋側の山間や長野県南部地方は朝晩氷点下と春と呼ぶには程遠い。
当然釣り的条件も厳しく、早朝の水温は3℃あるかないかの状態からのスタートを余儀なくされる。また山懐に広がる山岳渓流では路面凍結や落石の危険も多く、水量もまだ少ないこともあってルアーフィッシングには時期尚早の観がある。
そんな解禁当初は集落近くを流れる里川で、成魚放流された渓魚たちに遊んでもらうのが面白い。ターゲットは25cm前後のアマゴやイワナである。
このような場面で登場させたいのが、フローティングシリーズのelf48F/57Fだ。
本来はアップキャスト(上流に向かってルアーをキャスト)に適したデザインとなっているが、これをダウン(下流方向)へキャストするのである。立ち上がり重視してシンキング「S」に比べて幅を持たせているリップが、水流をより受けるために強いウォブリング(ミノーがお尻を振るアクション)が発生し、中・表層を泳ぐターゲットを刺激する。
またそうした状態がダウンにキャストすることでリップが常に流れを受け、リトリーブを要しなくともアクションが持続できることが「肝」となる。あとは上流に向いて悠然と定位する魚影の鼻先へと流れを利用して送り込み、ティップを細かく振ってさらに渓魚の好奇心を煽ってみよう。イレギュラーなアクションを追加することで、ヒットの確率は格段にアップするはずである。
どんな強い流れを受けても決して飛び出さないのがelfの真髄。驚くほどの安定感を是非ともお試し頂きたい。
なお48と57の使い分けについては、お好み次第で良いと考える。ちなみに私の場合は常に48で、反応が鈍くなった時に57を登場させている。
鮮やかな萌黄色に山々が彩られる頃、本州中部の標高2000m超の山頂付近に積もった雪がゆっくりと溶け出し、その雫が集まりミネラルをいっぱい含んで河川に流入してくる。いわゆる雪代の季節だ。石灰質が多い中央・南アルプスでは特有の白濁した流れを作り出し、時に笹濁りと見間違うくらいである。
だがこの雪代、急激な気温上昇に伴う雪解けの際には、土石流のような濁流となる場合もあって大変危険だ。釣行当日の天候もさることながら、気温もチェックして現場での状況判断を的確にしたい。
このような厳しい条件下では、流れに漂う魚影を目にすることは当然稀となる。その原因は低水温による活性の低下で、渓魚たちは沈み石やボサ下といったストラクチャーに身を寄せているのだ。
そんな場面ではelf48Sや57Sといったシンキングミノーを選んでダウンにキャストしたい。フローティングよりも潜行深度が深いことから、雪代の増水で水面のうねりが大きくなっていても流れから飛び出てしまう心配はない。ストラクチャーに隠れる魚影を押しの強い流れに引き出し、トリッキーなアクションで喰わせてみるのが面白いだろう。ミノーと渓魚との距離を楽しめるのは、サイトフィッシングの醍醐味である。
だがかなりの低活性時には、その誘き出しにもなかなか動じない場合が多々ある。その場合には狙ったストラクチャー回りでelfを定位させ、そのままティップを細かく振ったシェイキングでアピールし続けてみよう。小気味良い連続アクションに刺激されれば、隠れ家から思わず飛び出して来てしまうもの。
苦労の末に出会う1尾の感動もまた格別だ。
なお雪代でダウンのサイトフィッシングをする際には、ミノーのバックカラーは視認性の良いものがおすすめである。