釣り歩くこと約6時間。体力も残りわずかだった。 しかしこれといった釣果に恵まれることもなく、何とかならないものかと 右岸に高く付いた林道から尾根を伝って再び川へと降りていく。 まずは上流500メートルの堰堤まで釣り上がる。 そして直後、同行の釣友に良型のイワナがヒット。 正直、うらやましく思った。「次は自分だ」と気合を入れ直し、 目の前に現れたのはタタミ四畳ほどの緩流帯。 落ち込みにできた白泡から魚影が飛び出してくると勝手に決め付け、 また細かな泡がシェードになるだろうと高く見下ろす岩の上にポジションした。 満を持してアップクロスにファーストキャスト。明確な反応はない。 少し角度を変えて再度... やはり不発である。 普段であればこれで見切るところ、何故かその時だけは 惰性に近い軽い気持ちでダウンクロスにキャストしていた。 当然ヒットに繋がる根拠は何もなかったが、 このやる気のないミノーに大きく黒い影が纏わり付いてきたのである。 どこから出てきたのか理解できないほどの大きさに困惑しているうちと、 あっと言う間にミノーは足元に到達。しかし魚影はチェイスを止めない。 そこで間髪入れず沈めてしゃくるジャークに変更。 少しでもミノーを動かし続ける。 その3回目、魚影の頭が横に振れた。 手応えはなかったが、無心でロッドを立てると明らかな締め込み。 そして気に引き抜きランディングに成功した。 ネットの中で金色に輝くのは33cmのヤマトイワナ。 まさに「感無量」... 他にあてはまる言葉は見つからなかった。
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